Advancedシラバス提示の3つのロールは現実的なのか。

Advanced Level試験で認定されるロールは、テストマネージャ、テストアナリスト、テクニカルテストアナリストの3つだ。現在、学習を進めてはいるが、いまだにロールの定義さえ明確に把握できていない。1つのシラバスで3つのロールを包含させているため、シラバス上で各ロールが該当する部分を掴みにくいということもある。そもそも、これら3つのロールが実際上、現実的なものなのかどうかさえ、疑問に思って取り組んでいるせいもある。

管理面を担当するテストマネージャと技術面を担当するロールということでは分かりやすいが、技術面の担当をテストアナリスト、テクニカルテストアナリストの2つに分けたためにそれら2つのロールの差異がはっきりせず、現実感がなくなってしまった。そもそも、ネーミングが悪いと思う。テストアナリストとテクニカルテストアナリストでは、オブジェクト指向的には、テストアナリストが特化したものがテクニカルテストアナリストにように思えてしまう。Advancedが出てきた初期には、テストアナリストをドメインテストアナリストとか、ファンクショナルテストアナリストなどと呼んでいた形跡もあるようだ。個人的には、テストアナリストを総称名として、ドメインテストアナリストとテクニカルテストアナリストの2つに特化させる案の方がよかったなと思う。

話を戻して、それぞれのロールがシラバスの各章をどれだけの重みで学習すればいいかを、簡単に一覧しておく。シラバスの冒頭には配分が細かく記述されてはいるが、直感的に捉えにくい構成なので簡潔な表としてまとめておきたかった。完結な表ではなく、簡潔な表だ。

まず、ざっと、◎、○、△、×で示してみた。×は出題の範囲外であることを示す。シラバスでの各章のページ数を添えておくので、情報量との関係も想像できるだろう。イントロダクションは、Foundationレベルの復習に要する時間や配分、またAdvancedでの3つのロールの差異の認識に関する学習と考えていい。

章(ページ数)テストマネージャテストアナリストテクニカルテストアナリスト
イントロダクション-
1 ソフトウェアテストの基本的側面6p
2 テストプロセス8p
3 テストマネジメント18p
4 テスト技法10p×
構造ベースは△

構造ベースも◎
5 ソフトウェア特性のテスト11p×
機能・機能性
ユーザビリティ

信頼性・効率性
保守性・移植性
6 レビュー5p
7 インシデント管理3p
8 標準とテスト改善プロセス10p××
9 テストツールと自動化10p
静的解析ツール
テスト実行・性能ツール
10 個人スキルとチーム構成4p

テストマネージャとテストアナリストのロールの差異は、3章、4章、5章、8章、9章、10章あたりに見られる。4章と5章は、テストマネージャ試験では全く出題されないのか、K1レベルやFoundationレベルでは出題されるのかはっきりしない。シラバスでの推奨される学習時間はゼロとなっているし、JSTQBのアナウンスでも範囲外としているようだ。しかし、一方ではFoundationレベルでの知識は要求すると言っているし、全く出題されないのか、少しはされるのかはっきりしない。上記の表では一応「×」として表現しておくが、シラバスはざっと読んでおき、Foundationレベルの復習はやっておくのが無難だろう。

テストアナリストとテクニカルテストアナリストの固有の部分、4章と5章は、Foundationと比較しても大して詳細とも言えない。テストアナリストとテクニカルテストアナリストには、実践的な、シラバスの記述以上の知識とスキルが要求されることは確実だ。ただ、テストアナリストとテクニカルテストアナリストの差異が、実際上、現実的に、それほど明確になるとは思えないので、境界の把握に苦労させられるだろう。

次に、もう少し精度を上げて、シラバスで提示されている学習時間も整理しておく。それぞれのロールで35時間(2,100分)の学習時間が必要とされている。コース学習は1日を7.0時間で計算するのが慣習なので、みっちり5日間のコースを想定していると言える。1日1時間の学習なら、35日だ。シラバスにある情報なので、あえて載せる必要もないのだが、せっかくテーブルにしてみたので、おまけだ。

テストマネージャ テストアナリスト テクニカルテストアナリスト
イントロダクション 60分 60分 60分
1 ソフトウェアテストの基本的側面 150分 30分 30分
2 テストプロセス 120分 180分 180分
3 テストマネジメント 1,120分 120分 120分
4 テスト技法 なし 1,080分 930分
5 ソフトウェア特性のテスト なし 210分 240分
6 レビュー 120分 180分 180分
7 インシデント管理 80分 120分 120分
8 標準とテスト改善プロセス 120分 なし なし
9 テストツールと自動化 90分 90分 210分
10 個人スキルとチーム構成 240分 30分 30分
学習時間 35時間 35時間 35時間