シラバス2011をチェックしてみた。(6)

【2011/05/17追記】この記事は「FLシラバスのレビューメモ」の方に6回分をまとめておきました。

今回が最後だ。JSTQBシラバス2011をチェックして気付いた点を挙げてみる。致命的なものには(■)を、軽微なものや要望には(□)をマークしている。以前の指摘とあわせて参照してほしい。
シラバス2011をチェックしてみた。 (P12〜P32)
シラバス2011をチェックしてみた。(2) (P26〜P37)
シラバス2011をチェックしてみた。(3) (P38〜P44)
シラバス2011とシラバスV1.1.0の差異を説明してみる。
シラバス2011をチェックしてみた。(4) (P44〜P54)
シラバス2011をチェックしてみた。(5) (P55〜P61)
シラバス2011をチェックしてみた。(6) (P63〜P70)

P64 テストツールの種類

(□) 用語に「デバッグツール」が挙げられているが、これはV1.1.0の残骸なのか。ISTQBでも残っている。シラバスでは全く触れられていないが、これも出題範囲なのだろうか。
(□)「表計算ソフトウェア」といったり、「スプレッドシート」といったり不統一だ。
(■)「テストの中で行われるプロセス全体」ではなく「テスト実行のプロセス全体」だ。計画や設計のことは言っていない。

P67

(□) authorizationは単に「権限」とするのではなく「認可」の方がいいだろう。認証・認可はセットだ。

P67 データ品質評価

(■) 最後の文がおかしい。「標準に変換することを保証する」ではない。「データ変換やデータ移行の際に、処理したデータが正しく、完全で、事前に定義された条件を満たしているかどうかをレビューし、検証するために利用される。」が正しいニュアンスだ。

P70 組織へのツールの導入

(□)「ツールを活用するために...」がわかりづらい。「ツールを導入してテストプロセスを改善するために、組織の成熟度、強みと弱みを評価し、導入の機会を見極める。」ではどうか。
(□)「ツールべンダー(...)」の括弧がきの修飾がおかしい。「ツールべンダーについて...などを評価する。非商用ツールの場合...」としたらどう。

途中、興味が湧かなくて飛ばした箇所があるので、そこも簡単に見ておこう。テストの心理学と行動指針のところだ。

P19-P20 テストの心理

(※) 特に問題はないでしょう。

P21 行動規範

(□) いきなり「公人」といわれるとテスターは皆「公務員」かと思ってしまう。「公共の利益のために一貫性ある行動をする」程度でいいかと思う。
(□) 「判断」のところでintegrityを「誠実さ」といった訳にしているが、顧客や雇用主に対して言っている訳ではないので「完全性」の方がいいだろう。「完全性と独立性をもって、プロとしての判断を行うこと」でいい。


以上でレビューは終わりだ。ひととおり、JSTQBのFoundationのシラバス2011版をチェックしたことになる。やっと解放される。長々と指摘をしてきたが、勿論、指摘の内容に間違いがあるかもしれないし、若干自信のないところもある。だが、大半は明らかな欠陥と認められるはずだ。シラバスの欠陥は非常に"高価な欠陥"であることを自覚いただいて、早期に対応していただけることを期待している。