指摘してやりたい!

間違いを指摘してやりたいが、余計なおせっかいだろうと考え直して、言えない。こんなストレスがよくある。「相殺」を「そうさつ」と誤って読む程度なら、私は突っ込むのだが。

以前、喫茶店でくつろいでいると、となりで女子大生風の二人が会話していた。ひとりがもう一人に「匙は投げられた」という例えを語っているのだ。その例は、雲仙普賢岳の噴火と阪神淡路震災を持ち出している。意外だった。とてもニュースなど見てもいそうもない雰囲気の二人だったからだ。島原市の鐘ヶ江市長が阪神淡路震災のときの神戸市の対応のまずさを非難してこういったのだそうだ。「長を預かる者は、こういった災害のときは匙は投げられたと迅速に決断しなければならない」と。「匙は投げられた?」ともう一人が問い返す。「知らないの。ローマでカエサルが・・・」とか説明をし始めた。おい、それは匙じゃないだろ。

またこれは私が直接聞いた話ではないが、Xeroxで業務していた時代の話だ。彼は新幹線で三重に帰省する途中だったそうだ。彼の前の席で父と息子が座って、車窓を眺めながら話している声が聞こえる。息子が車窓に見つけた広告看板を見て、「ゼロックスってアメリカの会社なの?」と問うた。父は答えたらしい。「日本にもゼロックスはあるよ。確か日本ゼロックスと言ったな」と。彼は「富士じゃ」と教えてやりたかったが、そんな父子の間に割り込めるはずはない。じっと我慢したそうだ。