BABOK 2.0

以前知人から入手していたBABOK2.0のPDFだが、PCを交換した際に紛失してしまい、その後は無料でダウンロードできる古いBABOK1.6とBABOK2.0フレームワークというサマリだけで凌いでいたのだ。余りに不便なので、昨日$95の年会費を支払って、IIBAにメンバ登録し、BABOK2.0のPDFをダウンロードしてきた。

正確には、メンバ登録は数日前にしていたのだが、昨日やっと$95を支払う決意をしてクレジットカードで決済したのだ。より正確には、英語なのでクレジットカードで決済するときの「セキュリティコード」って何を入力すればいいのかが分からず、支払いたくても支払えなかったのだ。それが昨日、やっとセキュリティコードがクレジットカード裏面の署名欄に印字されている7桁のコードの後ろ3桁だと分かったのだ。パリティチェック的なコードなのだろう。クレジットカードは何枚か持っているが、そんなこと全く知らなかった。ちなみに前4桁はクレジットカードの末尾4桁だと分かった。面倒なのは、カード会社によって表示箇所や桁数が違うようなのだ。MasterCardでは、裏面の署名欄に7桁(4桁+3桁)で印字されていた。

なんとかBABOK2.0のPDFをダウンロードできたし、IIBAから「Thank you for joining IIBA」のメールも届いたので、先ほどIIBA日本支部への入会申込書も送っておいた。こちらは2009年度は日本支部設立キャンペーン中とのことで年会費が無料なのだ。

BABOK2.0の構成

今日ダウンロードしたBABOK2.0を少し眺めてみた。非常にすっきりとまとまっていて馴染めやすそうに見える。270ページほどで左程ボリュームもなく、しかも構成がわかりやすい。決して内容がないとはまだ言わない。以前のBABOK1.6に比べると以下の4点が大きいように思える。
■見出ししか記述されてなく全くのスケルトン状態だった「Solution Assessment & Validation」に中身が入った!
■「Enterprise Analysis」が拡張された!
■「Requirements Planning and Management」と「Requirements Communication」が見直されて「Business Analysis Planning and Monitoring」と「Requirements Management and Communication」で再編された!
■「Requirements Elicitation」が「Elicitation」に昇華された!

章立ては以下のようになる。BABOKでは、知識領域は7つ(正確には6つの知識領域+基礎能力)になり、タスク(活動)と技法が綺麗に分離されている。このあたりのBABOKのコンセプトが1章で語られ、2章〜8章の知識領域でタスクの中身が語られ、知識領域に横断的な技法が9章にまとめられている。


1 概要(Introduction)
2 【1】ビジネス分析の計画と監視(Business Analysis Planning & Monitoring)
3 【2】要求の引き出し(Elicitation)
4 【3】要求管理とコミュニケーション(Requirements Management & Communication)
5 【4】エンタープライズ分析(Enterprise Analysis)
6 【5】要求分析(Requirements Analysis)
7 【6】ソリューション評価と妥当性確認(Solution Assessment & Validation)
8 【7】基礎能力(Underlying Competencies)
9 技法(Techniques)
「Elicitation」を私は仕方なく「要求の引き出し」と訳しておいたが、本当は「引き出し」とか「抽出」とかのままにしておきたかった。実はBABOK1.6で「Requirements Elicitation」であったものがBABOK2.0で「Elicitation」に変わったのだ。昇華/抽象化されたのだ。この意図が読めてきたので、その意図に従って「引き出し」とか「抽出」のままにしておきたかったのだ。だが日本語として収まりというか締まりが悪いので、仕方なく古いBABOK1.6を踏襲して「要求の引き出し」と訳しておいた。しかし、2つ目の「Elicitation」の知識領域で扱うものはRequirementsが抽象化されたものであることを自覚しておく必要がある。単に要求だけではない。「Elicitation」では4つ目の知識領域であるエンタープライズ分析に対するインプットも包含して扱うようにBABOK2.0で体系づけられたのだ。BABOK2.0のすっきり感の1つだと評価している。(※IIBA日本支部が訳してくれているだろうが「Elicitation」をなんと訳すかが楽しみだ。)

また「Enterprise Analysis」はITIL V3のモデルの影響を受けているかもしれない。より戦略的なサービスを志向し、継続的/戦略的なサービス改善のサイクルも意識しているように見える。(※私がたまたまITIL V3を勉強したばかりだからかもしれない。)

これらによって、【4】エンタープライズ分析、【5】要求分析、【6】ソリューション評価と妥当性確認の3つ巴を、【2】引き出し(Elicitation)と【3】要求管理とコミュニケーションで挟み込み、【1】ビジネス分析の計画と監視と【7】基礎能力でサンドイッチにした非常にシンプルで分かりやすいモデルで表現できるようになったのだ。

また、読み込んだら情報を公開してみたい。