BABOK 2.0 #5 用語

BABOK 2.0の用語を自分なりに理解してみた。

ビジネスアナリシス(Business Analysis)

ビジネスアナリシスは、タスクと技法を集めたものだ。それらタスクと技法は、組織の構造・ポリシー・運営を利害関係者と連携して理解するために利用されるし、また組織がゴール達成のために可能なソリューションを提示するために利用される。BABOKは、ビジネスアナリシスをディシプリンとして記述/定義するという意図を持っている。組織間で幅広く活躍するビジネスアナリストという肩書の人の責務を定義するという意図はない。ビジネスアナリストは、システムアナリスト、プロセスアナリスト、プロジェクトマネージャ、プロダクトマネージャ、開発者、QAアナリスト、ビジネスアーキテクト、コンサルタントといった肩書の人によって実行されるかもしれない。

※ビジネスアナリシスは、1つのディシプリン(知識分野=ある程度の広さを持った独立した知識領域)だ。一般にディシプリンを説明する際には、いくつかのサブ知識領域に分割して表現され、それらの中でベストプラクティスとなるタスクと技法、および最低限必要な基礎能力を提示することになる。BABOKでのビジネスアナリシスの定義ではそれを踏襲しているということを説明している。ビジネスアナリストというロールを規定する訳ではないことが強調されている。ちなみにBABOKでは、知識領域(KA:Knowledge Area)は、関連するタスクと技法をグルーピングしたものであるとだけさらっと言っている。

ソリューション(Solution)

ソリューションは、ビジネスニーズに合致していなければならない。ソリューションは、組織の課題を解決したり、組織の機会の優位性を活かすために与えられるものだ。ソリューションは、コンポーネントに細分できる。コンポーネントには、ソリューションを支援する情報システム、ソリューションを管理するプロセス、ソリューションを運用する人を含んでいる。ビジネスアナリシスは、組織のニーズや組織運営上での制約の集合(時間、予算、規約など)に合致した最善のソリューションを定義する作業を支援する。

※ITソリューションだけが対象ではなく、プロセス改善、組織変更、アウトソーシングなど人系の運用を含んでいることを説明している。

スコープ(Scope)

「スコープ」という用語は、大きく2つの定義に分かれる。ソリューションスコープとプロジェクトスコープである。ソリューションスコープはビジネスニーズに合致するように支援されるソリューションの能力の集合である。プロジェクトスコープは、特定のソリューションを組み立て、実装するのに必要な作業である。BABOK でスコープを言及するときは、特にこだわらない限り、ソリューションスコープのことを指す。ソリューションスコープの定義と管理は、ビジネスアナリシスを支配するものであり、プロジェクトスコープで関心のあるプロジェクト管理とは切り分けるものである。

※プロジェクトスコープはPMBOK(PMP)の領域なので、そこには踏み込まないことを説明している。

要求(Requirement)

要求には以下の3つの定義がある。
(1) 問題解決や目的達成のために利害関係者によって要望される条件や能力。
(2) ソリューションやソリューションコンポーネントが、契約、標準、仕様、その他課せられた公式文書を充足するために、合致し、処理しなければならない条件や能力。
(3) 上記(1)や(2)の条件や能力を文書化したもの。

要求には直接的に表明され管理されるものと、明確でなく他の要求によって暗示されるものがある。要求の引き出し、分析、コミュニケーションは、ビジネスアナリシスのディシプリンの中核である。要求を可視化し、すべての利害関係者に理解できるようにするという目的を持っている。

※一般に(1)が「要求(顧客要件)」、(2)が「要件(成果物要件)」と呼んでいるものに相当する。BABOKでは、利害関係者要求、ソリューション要求と呼びたいのかもしれない。

方法論(Methodology)

方法論は、ビジネス課題を解決するために、どのようなビジネスアナリシスのタスクと技法を適用すればよいかを決定するものである。技法は、いくつかのタスクの実行の手助けにはなるが、方法論は一般にプロジェクトで一貫して実行されるすべてのタスクに影響を与えるものである。方法論は、BABOKのスコープ外である。それらの存在は認識しているし、BABOKに全体としてどのように影響をあたえるかについていくつかのガイドラインを提供してもよいかもしれない。しかし、それら本来の定義は方法論の作者に委ねる、とある。

※方法論に言及するだけの余力がまだないということだろう。