シラバス2011がリリースされていた。

JSTQBのHPを参照していて、Foundationのシラバスと用語集が改訂されていることに気付いた。シラバス2011だそうだ。2011年3月30日にリリースされ、先日4月7日にアナウンスされていたようだ。

シラバス2011の改訂について

ISTQBのシラバスには2010と2011があるが、JSTQBでは2010には対応せずに、いきなり2011に対応したことになる。2010と2011の差異の詳細は把握できていないが、リリースノートを読む限り、2010との差異は細かな表現の修正のみのようだ。ただ、一般の方は2010版の存在さえ知らないでしょう。2007版(V1.1.0)からの変更となると、結構な差異があるので注意が必要だ。ぜひ、過去の記事を参照してほしい。大きな改訂点は、テストレベルごとにテスト対象とテストベースが明示された点だろうか。相互運用性テストを機能テストとする、経験ベースはブラックボックスとは呼ばない、レビュープロセスを変更した、開始基準を明確化した、テストアプローチの考え方を変更したなどもある。シラバス2011の詳細は、私もまだ精査できていないので、これから読み込んでみるつもりだ。

また過去の記事で、JSTQBシラバスに対して要望したいことをいくつか書いてきたが、今回の最新シラバスでどのように扱われたかを過去記事に追記する形式でコメントしておいた。がっかりさせられることばかりだった。気になる方は参照してみてください。

JSTQB Foundationのシラバスと用語集をもっと整備してほしい。(3)
JSTQB Foundationのシラバスと用語集をもっと整備してほしい。(4)
横断的に検索できる用語集を作ってみた。

用語集の改訂について

用語集の方は、バージョンが変化していないが内容が一部修正されているように見える。4月7日のアナウンスには用語集も変更したとある。バージョンを変更せずに内容をこっそり修正するのはやめてもらいたいところだ。先日、用語集を横断的に検索できるツールを公開したばかりだったので、慌てて確認作業を行い、JSTQBの用語集と当方の用語集で矛盾がないかをチェックしておいた。

まず、重要な点だが、JSTQBの用語集はFoundationにしか対応していないようだ。ISTQBの用語集は、FoundationとAdvancedを網羅しているが、JSTQBではその中からFoundationに該当するもののみをピックアップしているように見える。Advanced用の用語集を別途リリースするつもりなのかもしれない。当方の用語集では、両方を網羅しているのでAdvancedに関係する用語は区別できるようにはしておいた。

また、JSTQBの用語集の精度だが、残念だが、相変わらずよくないと言える。「Usability」を「有用性」と訳すなど致命的なものも残っている。「インシデント」と「欠陥」といった基本的な定義さえ誤訳している。重要な概念である「妥当性確認」と「検証」の訳も間違っている。当方の用語集では、JSTQBの用語集との差異も解説しているので、ぜひ、比較してみていただきたい。
【2011/04/23追記】昨日、JSTQB2011の用語集が公開されていた。それをもとに再確認しておいた。上記の指摘には対応されていない。残念だ。ただ、以前に指摘したものの一部には対応していただいているようだった。