大きなコタツを最近ではFuture Centerと呼ぶのか。

Future Centerとは直訳なら「未来センタ」だが、古い表現だと「共創の場」のことだ。要求開発アライアンスで「コタツ」と表現されていたものをさらに拡張したものと言えそうだ。最近では、Future Centerという表現もよく耳にする。震災や原発事故の影響で、さらに重視されてきた感じだ。ネット上では以下のような解説があった。

フューチャーセンタは、多様な人々が集まり、「よい対話」をするための「専用空間(Space)」です。あたたかな「おもてなし(Hospitality)」によって招き入れられた参加者は、「ファシリテータ(Facilitators)」と呼ばれる対話を促すスキルを持った人によって、対話の「方法論(Methodologies)」を用いて、協力的・創造的に対話を行います。
フューチャーセンタでは、持ち込まれた複雑な課題に対して、「未来のステークホルダ」を集め、オープンに対話し、共有可能な理想像を描き出します。もちろん一回の対話で解決しない問題もあり、セッションを連続的に設計することで、問題解決に近づけていきます。
フューチャーセンタは、「対話する場があることを象徴的に示す空間」でもあり、多様な参加者による共創的対話による、「イノベーションを生む場」でもあります。都市や街にフューチャーセンタがあれば、街づくりが参加型に変わります。企業にフューチャーセンタがあれば、組織の壁や企業の壁を超えたイノベーション発想に変わります。これからの合意形成のプロセスは、トップダウンではなく、創造的な対話からローカルな変化を生み出し、それらをネットワークでつないでいくことになるでしょう。フューチャーセンタのネットワークが、それを担う場になると期待されています。フューチャーセンタは、多様性の高い対話を通して、社会的な共有価値を生み出す場なのです。

要求開発アライアンスでの「コタツ」とコンセプトは同じようだ。昔ながらの「共創の場」も、「コタツモデル」も「Future Center」も呼び方が異なるだけで、本質的には変わりないように見える。上記の解説からは、システムやソフトウェアの要求エンジニアリングでの合意形成にもFuture Centerは適用できることが分かる。だが、Future Centerは、ドメインを超えて、世界的に浸透しつつあるようだ。「コタツ」などと言っていられない。

私も不勉強だが、字面的な情報から察すると、Future CenterでのSpace, Facilitators, Methodologiesはごく一般的だとは思う。しかしこれらと同等に「Hospitality」をとり挙げて強調している点が、Future Centerの大きな特徴だろう。対話に参加する人を非常に大切にする姿勢が貫かれている。ただ残念なのは、だれのことをホストと言っているのかはっきりしない感じなのだ。センタのスポンサなのか、ファシリテータなのか、それとも参加者同士なのか。だれがホストであるかが明確でなく、Hospitalityといっても信じがたい。各ステークホルダが、皆、ホストであることを自覚せよと言っているのか。

私はプロセス指向なので、どれだけ具体的なプロセスが明示でき、その効果が定量的に計れるかが重要だと思っている。少なからずファシリテータの役割は必要だとは認めるが、その存在をあまり強調してほしくないと思う。ビジネスとして参加するファシリテータの属人性に振り回されるのは御免だ。もっと、スポンサ、ファシリテータ、参加者など各ステークホルダの利害を共有し認め合うことから始められるようなプロセスが提示されるべきかなと思った。ただ、Future Centerの実際のプロセスを理解していないので、誤解しているかもしれない。