ReqIFに関するいくつかの情報。
最近では、ReqIFもいろいろと分かってきて、ReqIFのコアモデルもJavaで実装できたし、文書交換が行えるReqIFツールもある程度は実装できてきた。WORDやEXCELで作成した要求文書をReqIFフォーマットのXML交換文書に変換したり、その逆が行える。残念ながら、まだReqIFフォーマットをインポート/エクスポートできる要求記述ツールや要求管理ツールが手元にないので、それら市販ツールとうまくつながるかどうかは確認できていない。ReqIFは標準フォーマットと言っても、まだツール依存の部分がいくつかある。正確には、ツール側でどのようにも解釈できる部分があり、ReqIFの仕様書ではその部分をガイドしてくれていないのだ。これについては、またレポートしたい。
ネット上で得られた新たなReqIFに関する情報をピックアップしてみた。
(1) OMG ReqIF V1.1
現在のReqIFのバージョンは2011/04にリリースされたV1.0.1だが、現在OMGでは、ReqIF V1.1に向けて改訂のためのタスクフォース(RTF)が進んでいる。年内に改訂要求がまとめられ、来春には改訂版がリリースされるようだ。
(2) IBM Rational DOORS
DOORSは、現在、市場に出ているものはDOORS 9.xというバージョンであり、RIF1.1a、ReqIF1.0.1に対応しているようだ。ただ、ReqIF1.0.1にすでに対応したものが出ているのか、これからなのかがはっきりしない。また開発中のDOORS Next Generationというものの情報も公開されている。DOORS 9.xとDOORS Next GenerationはともにReqIFに対応して、双方向に要求情報の交換が行えるそうだ。
どちらも、複数のプロジェクトやソリューションで共通する要求や仕様を共有できる。似たような製品やシステムであれば、当然、要求や仕様は似ている訳だし、プロジェクトを横断して共有したり、再利用しようということだ。DOORS 9.xは2つの要求文書間で共有すべき要求情報を一方から他方にコピーする必要があったが、Rational DOORS Next Generationでは、共有すべき要求情報を抽出しておき、複数の要求文書からそれぞれ参照できる構造となるらしい。
(3) MKS Integrity (PTC Integrity)
MKSに関しては買収もあり、複雑だ。MKS社はカナダにある。(※過去の記事で本社はドイツと書いてしまったが、訂正しておいた。) 1984年に設立され、かなり歴史が古い。MKSはMortice Kern Systemsの略だそうだ。2007年に日本にもMKS Software社を作り、2008年にはMKS Integrity社に改称している。MKS Integrity製品の日本語版が出たのが2007年だったらしい。そして、MKS社は、今年2011年5月にPTC社に買収されてしまった。日本にもPTCジャパン社がある。日本のMKS Integrity社はいまのところ、存続している。今後は製品名を「PTC Integrity」と呼ぶとアナウンスしているようだ。
IBM DOORSももともとTelelogic社だったが買収されて、IBM DOORSになっている。しかもRationalとは直接関係ないはずなのに、正式にはIBM Rational DOORSと呼ぶらしい。買収があると、複雑になって困る。
こんなことを書きたかった訳ではないのだが、ネット情報からではMKS Integrityはどうなっているのかよくわからない状況だ。MKS Integrityは勿論、RIF1.1には対応しているが、ReqIF1.0.1に対応できているのかどうかはまだはっきりしない。
(4) Eclipse RMF (Requirements Modeling Framework)
Eclipse RMFについての情報は、http://eclipse.org/rmf/ の周辺をみれば済む。RIF 1.1、RIF 1.2、ReqIF1.0.1の3つに対応していて、XHTML(テキスト強調表現や外部ファイル参照などで利用)にも対応できているそうだ。「ProR」と呼ばれているGUIもかなり動作する。http://update.pror.org/download/ から「pror-9.0.0.win32.win32.x86.zip (10-Aug-2011)」を試してみた。現在ダウンロードできるものはRIFに対応した古いもので、ReqIFに対応したものではないようだ。
もうすこし試行してみよう。Import/Export機能があるようなので、このProRに自前で作成したReqIFツールで生成したXML交換文書を読み込ませてみたい。報告は、また後日にでも。