ITIL V3 vs CMMI-SVC

以前、サービス開発のプロセスや適用技術を考察したことがあるが、自身の知見として開発者側視点からのSWEBOK、PMBOKCMMI-DEV、SLCP共通フレームしか持ち得ていなかったため、どうもITサービスと人系を含めた運用がうまく融合できなかったという反省があった。

CMMIでも「サービスのためのCMMI V1.2」(CMMI-SVC)が2009/02に公開されたし、サービスマネジメントには直接関係しないかもしれないがサービス開発の上流に関係しそうなビジネス分析の知識体系(BABOK)の最新版V2.0も2009/03にリリースされている。また一方、ITILもV2から2007/05にリリースされたV3へと進化し、V3についても最近、日本語の解説書もいくつか揃ってきたようだ。CMMI-SVC V1.2、BABOK 2.0の訳本も期待はしているが、まだしばらくかかるだろう。

ところで、CMMI-SVC V1.2とITIL V3は、どのように使い分けたり、組み合わせたりすればいいのだろうか。どちらを勉強すればいいのだ。中身はまだほとんど見ていないので、今のところ判断できずにいる。この観点での記事も探したが、親切なものは見当たらなかった。CMMI-SVCは、CMMI-DEVを知っている者にはとっつきやすそうに思える。ITILは、V2からV3に進化した時点で凝縮されたとはいえ書籍は膨大なままだが、日本の組織文化にはITILがあっているとも聞くし、浸透度合はCMMI-SVCより明らかに上位だ。少なからず学習していけば、そのうち判断がつくだろうとは思う。以前、CMMI-SVCのドラフト版の解説に、CMMI-SVCITILのサブセット的なものになる、ITILのベストプラクティスを特定の小さなプラクティスへと要約してCMMIモデルの要素にマッピングしているとあった。(※過去記事「CMMIの体系」を参照)

ネットで調べていて「ITIL V2はビジネスとITを連携するという観点で構成されていたが、ITIL V3はライフサイクルや戦略を重視し、ビジネスとITを統合して語るというコンセプトである」ことを知った。「連携」と「統合」の差異で表現されている。まさに冒頭の「ITサービスと人系を含めた運用がうまく融合できなかったという反省」の打開策を提示してくれているかもしれないという期待感が沸く。まずは、ITIL V3の学習から始めてみることにする。川崎Beの有隣堂で、秀和システムの『ITIL V3の基本と仕組みがよくわかる本』を買ってみた。